シリーズ 妥協しない最新治療の実践(4)
インプラント治療の適応症の拡大を目指して(骨誘導再生術)

骨造成が必要ないインプラントケース
私のインプラント治療経験は、今年で23年目になりました。当初より、骨がないケースでは無理にインプラント治療をお勧めすることはせず、できるだけ安全に治療ができるケースを選択してきました。予防中心の医院が軌道に乗ってくると、健康な隣在歯を犠牲にするブリッジなどの被せもので歯のないところを補う治療は患者さんも望みません。入れ歯を受け入れられないとすると消去法によりインプラントしか治療方針が残らないケースも多くなりました。
そこで、特に骨が不足していて、そのままの状態ではインプラントを植立できないケースでも、骨を誘導再生させて、インプラント治療を可能にする技術の習得に努力してきました。
骨誘導再生術(GBR:Guided Bone Regeneration)という技術が必要ですが、実は、私がインプラントを手がけて間もない1995年には海外の研修会に出向き、その治療技術および、その治療に必要な材料・器具を入手し、一部のケースでは行ってきていました。
昨今のニーズにお答えする形で、ここのところ、GBRのニーズはとても高く、多くのケースで骨誘導再生を併用するようになりました。
【症例1】インプラントのネジ山の露出への対応

CT撮影により、インプラント部位の骨は大きく陥凹していることが判明、実際、植立するとネジ山が露出します

人口骨の顆粒を欠損部に充填し 上皮の陥入を防ぐためにメンブレンを設置しているところ
粘膜弁を緊密に縫合し術後CTを撮影しインプラントの頬側寄りに骨造成材料が置かれているのがわかります